「図星か。まあ、それは禁止していなかったからいいんだけど。何使った? おもちゃ?」
首を横に振る。
「指?」
頷く。自分でするときはいつもそうだ。
「どんな風にしたかまた教えて。毎回オナニー報告させるのもいいかもな」
それはさすがに恥ずかしすぎる。でも、把握されて管理されたがっている自分もいるのだ。全部知って、全部見てほしい。恵瑠のことを。
ディルドはずんずん穴の中へ沈み込んでいき、全て入りきったようだ。
異物を咥え込むことを悦びだと教え込まれた身体は、無意識に挿入物を食いしめ、快感を追おうとしてしまう。
「これはこのまま咥えているんだよ」
恵瑠が頷いたのを確認し、乳首への責めに戻る。
絶頂感を逃がすために、わずかに身を捩らせてみたり、乳首以外に意識を持っていこうとするが、動けばディルドに中を擦られることになるし、今他に意識が向くところなんて尻穴しかなく。
——もう無理……っ!
思い切りディルドを動かして達してしまいたい。
いくら涙目で訴えたって、聡司はやめてくれない。恵瑠の状態をわかっているはずなのに、涼しい顔でこちらを見るだけ。救いを求めるように勝手に手が伸び、彼のシャツを掴む。
「手加減してほしいときはイエロー、中断してほしいときはレッド」
「……」
「どうする?」
そうだ。すぐに終わらせてほしいなら、こちらにも手段は与えられている。セーフワードを使うのは悪いことではなく、使ったところで彼が怒ることはないし、それが理由でパートナー関係が解消されることもない、とは言われている。
だが、本当にこれが限界なのか? 彼の行為はできる限り全部受け止めたい。
——もう少し、もう少しだけなら……。
シャツを放す。
「頑張れる?」
頷く。頑張れる。頑張りたい。
「そう。じゃあ続けるよ。……ちょっと赤くなってきちゃったね。やり方を変えようか」
彼はベッドに乗り上がってきて、恵瑠の腹を跨いで膝立ちになる。そして、こちらに向かって舌を出し、にやりと笑ってみせたかと思うと、腰を曲げて頭を胸元に近づける。
——うそ……。
そんなことをしたら駄目に決まっている。
尖りきって充血した乳首に舌がぬるりと這う。甘い痺れが身体を走り、大きく背をしならせた。が、根性で何とか踏みとどまる。
——セーフ……。
苦しげに張り詰めて、先からだらだら出ているけれど、これはカウパー、精液じゃない。そのはず。
しかし、乳輪全体を痛いくらいに吸い上げられたことで、とうとう限界を超えた。性器からどろりとした白濁液が飛ぶ。
「う、あっ……」
「あーあ、出ちゃった」
「……」
聡司のシャツにも掛かってしまっている。ここまで我慢したのに、泣きそうだ。
——こんなのやだ……。
それは当然彼にも伝わっていて。
「君はどうしたい?」
「……?」
「挽回するチャンスがほしい?」
躊躇いなく頷く。こんな中途半端で終わりたくない。
彼は恵瑠の上からどいて、ベッドを降りる。
「そう。じゃあ、前にできなかったこと、できる?」
デスクからスマホを取ると、彼は背面をこちらに向けて構える。
——撮るんだ……。
前に提案されたときは、恥ずかしすぎてやめてもらったけれど。
「後で二人で見るだけ。他の誰にも見せないことは約束しよう。まだ録画ボタンは押していないよ。どうする? 押していいなら、起きて座って。それから、カメラに向かって大きく足を広げて。穴までちゃんと見えるように」
「……」
どこまで服従できるのか、彼の目が問うている。どうしよう。
——でも、頑張ればきっとまた褒めてもらえるし……。
大丈夫、二人で見るだけのもの。大丈夫。
腹をくくって重い身体を起こす。体重がかかって、咥えっぱなしのディルドがより深く入っていくのを堪えながら、足を開き、カメラに向かって汁まみれになった秘部を晒す。しかし、正解ではないというのが彼の表情からわかったので、後ろに手をついて、しっかりと尻穴が見えるようにやり直した。
「顔真っ赤。やっていることはそう変わらないのに、撮られるだけで恥ずかしいんだ。でも、当然これだけじゃないよ」
聡司の手に握られているのは、小型で細長い、恐らくリモコン。彼がそれを操作すると、中のディルドが突然振動し出す。
「ひっ……」
「実はバイブ機能があるんだ、それ」
達したばかりだというのに、感じる箇所を何度も抉られ、強制的に昂ぶらせられる。
「足を閉じるな」
「うあ、ひっ……あっ」
「また出るなら出してもいい」
その声に誘導されたかのように、上がってくる。また、気持ちいいの。
「あ、んっ」
勢いよく吹き出し、ぼたぼたと床に落ちる。
こんなに短い間隔で二回も、なんて初めてだ。
「……いい子。上手」
脱力して倒れ込みそうになったところを抱きとめられる。髪にキスをして、優しく背を撫でてくれた。安堵感が胸を満たす。
ねえ、頑張ったでしょう? いっぱい褒めて。それから、もっとご褒美も——。
甘えて首に腕を回すと、唇にキスをくれる。
「今日はいつもより意地悪しすぎたかもね。この辺で終わりにしようか。疲れただろう。いっぱい抱っこする?」
——え、なんで……?
ぶんぶんと首を振る。嫌だ、違う、そうじゃない。ここで終わりなんて。
ベッドから床に降りて彼の前に座り込む。犬になっているときは手先の細かい動きをしないのがいつものルールだ。膝立ちになって、股間に顔を寄せ、彼のスラックスのファスナーを歯で挟んで下ろす。
取り出せないが、こちらの意思が伝わればいい。顔をうずめて布越しに唇で甘噛みする。
いつもよりわずかに濃い匂い。固くて、大きくなっていて。最高に美味しそう。
「……エロ犬め」
「……」
「欲しいのか」
頷く。もちろん欲しい。一番のご褒美だから。
「なら、自分でディルドを抜いて誘ってみせろ。手は好きに使っていい」
再度頷いて、ベッドに上がる。
彼に尻を向けて四つん這いになり、ゆっくりと引き抜いていく。興奮のさざ波が背筋を震えさせて、また勃ってきそうだ。
十数秒の時間をかけてその感覚を楽しんでから、抜けたおもちゃを脇に置き、空っぽになって埋めてもらえる何かを探す穴を、彼の眼前に晒す。
「面白いくらいひくついてるな。二回もいったくせにまだ足りないようだ」
「……」
「喋ってもいい。だんまりもそろそろつまらなくなってきた」
「足りない、です……。聡司くんのちんちん入れてほしい」
「入れるだけでいいのか」
「中いっぱい突いて、ぐちゃぐちゃに掻き混ぜて、聡司くんも俺を使って気持ちよくなってほしい」
「普通だけど……、まあいっか」
「合格……?」
「ギリギリ。ちょっとオマケして」
「聡司くん」
早く、早くと急かすように尻が揺れる。
首筋の辺りでカチャリと音がする。首輪にリードが付けられたのだ。腰を掴まれ、先端が穴の表面に宛がわれたかと思うと、バックで一気に突き入れられる。
「……っ!」
一瞬息ができず、声も出なかった。強引に力尽くで広げられ、ディルドでは届かなかった奥まで彼がいる。
「またいったのか。すごく痙攣してる。ほんと元気だね」
達した直後だからといって、気遣いはしてくれない。容赦なく腰を打ちつけながら、彼はリードを後方に引っ張る。首が絞まって苦しいが、それも気持ち良く感じてしまう。
「ああ、いい。すごく締まる……」
「聡司くん、聡司くん……」
「上からも下からも涎を垂らして、突かれるたびにぎゅうぎゅう締めて。エロい身体にエロい穴。お前に言い寄ってくる女に見せてやりたいよ」
「だめ! だめぇ……、聡司くんだけ」
「そうだ。僕だけだ。恵瑠」
こんなにみっともない姿を見せられるのは彼だけ。この先もそれでいい。
半ば朦朧としながら、激しい抽挿を受け止め続け、ただ愉悦に啼く。喉に痛みを覚え始めたころ、中に咥え込んだ性器が強く脈打ちながら精を吐くのを感じた。
余韻に浸ることもなく、彼はすぐに引き抜き、使用済みのスキンを乱雑に捨てる。ちゃんと付けていたらしい。きっちりしているのだ。こういうところも。
新しいものを素早く装着し、恵瑠の身体を無言で裏返す。今度は正常位で挿入された。彼は恵瑠を元気だと言ったが、彼も彼で元気だと思う。
二回目を終えるとさすがにぐったりし、シーツの上に力無く手足を投げ出した。
ぜいぜいと肩で息をしているところに、唇が唇に覆い被さってくる。触れるだけでは当然済まされない。舌が侵入してきて、呼吸の著しい妨げになる。酸欠状態でも、押しのけようなんて気はさらさら起こらず、されるがままになっていると、意識を失う前には解放してもらえた。
二人でベッドに横になる。今日はレアな腕枕つきだ。これもご褒美なのかな。
「……聡司くん」
「なに」
「俺もう動けないよ……」
「まだ報告を書く作業が残っているけど」
「鬼なの? 今日は無理。また明日以降」
「泊まっていくか?」
「できれば」
「じゃあ、家に連絡忘れるなよ」
「うん」
彼の肩口に頭を擦りつけて甘えると、髪を撫でてくれた。
「お疲れ。よくついてきたね。少し休憩したら、風呂に入ろう」
「一緒に?」
「いいよ」
「やったー」
やっぱり大好き。恵瑠の、恵瑠だけのご主人様。
一緒に風呂に入って、ご飯を食べて。その後は普通の恋人同士のようにして過ごした。
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